Fujifilm X Labo

Fujifilm Xシリーズの研究を気まぐれに行う。

スーパー解像度!?Adobe「僕がX-Transを一番うまく使えるンだが、富士フイルムそれでいいのか?」

The sunlight coming into the abandoned school.

X-T3, XF14mmF2.8 R, 1/75 sec at f/9, ISO 160 (Adobe Super Resolution)

Adobe社がデジタル写真向けの新機能「スーパー解像度」をシレッとリリースした。この機能はRAW現像時にAIでピクセル補完を行い、画素数を4倍にするというものだ。今のところCamera Raw専用だが、将来的にはLightroomで直接使えるようになるらしい。少しだけ触ってみたが、某社のなんちゃってデジタル超解像処理と違って、おそるべき効果があるようだ。

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左:Adobe スーパー解像度 右:X-E2撮って出しJPEG (画質求めて高額機材を買うのがアホらしくなるほどの差だ)

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左:Adobe スーパー解像度 右:Adobe 標準 (ボディはX-T2。良いレンズを使えばより効果は高いようだ)

2019年にリリースされたAdobeディテールの強化では、X-Transのデモザイキングの質を上げることでX-TransのRAWデータを最大限に活かすことができるようになった。今回リリースされたスーパー解像度ではそこからさらに進化し、AIによる予測を用いたピクセル補完を行い、撮影データには存在しないデータを生み出し、とてつもなくデキの良いCGを作り出しているようだ。

ハッキリ言って、X-Trans第一世代でもRAWさえ残っていれば、スーパー解像度により、X-Trans第四世代の撮って出しJPEGを超えるスーパー画質を手に入れることができるお気に入りの写真のRAWは捨てちゃダメなのである。

今後、AIを用いた技術が進歩すると、格安キットズームを使っても周辺までばっちり解像したり、1インチやスマホで撮った写真でもフルサイズに最高のレンズをつけたのと同等以上のなめらかなで美しいボケを生み出すことができるようになるだろう。

今でも言えることだが、

「高額機材を買う前に、まずソフトウェアに少額を投資しよう」

今後この流れはどんどん加速していくと思われる。これからデジタル一眼で写真を始める人は、エントリーカメラを購入し、格安単焦点1〜2本を手に入れたらカメラ機材に使う金はそこで一旦ストップだ。まずは、LightroomなりCapture Oneなりを手に入れることをオススメする。それが使いこなせるようになった時点でうん百万円の機材を所有しながら撮って出しJPEGを使っている人よりも、ずっと良い写真を生み出す環境が整うことになるから。高額機材はその後適当に買えばいい。

すさまじい技術革新を続けるAdobeと比較してしまうと、似たりよったりのボディやレンズを乱発するだけのカメラメーカの将来には暗雲が立ち込めているようにしか見えない。富士フイルムさんには今後もXシリーズを末永く続けてもらいたい。だからこそ、ポエムと信者頼みの裸の王様になって欲しくない。ポエム開発やインフルエンサーマーケティングに使うリソースを、もっとソフトウェアにつぎ込んでくれることを切に願うばかりだ。

 

まずはその足がかりとして、スマホアプリの使い勝手を改善していただけると嬉しい。

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Fujifilm 16-55mm F2.8 vs Sony 16-55mm F2.8 Quick Comparison

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フルサイズ向けのFEレンズ開発に注力しているソニーは、長らくAPS-Cレンズにやる気を見せておらず、ソニーAPS-Cはゆっくりフェードアウトしていくのかと信じられていた。ところが2019年の終盤、ソニーは何を思い立ったのか突如APS-C大三元の一角となるAPS-C専用のSEL1655G (16-55mm F2.8)をリリースした。それはレンズラインナップで富士フイルムがリードしていた「本気のAPS-C」というニッチな市場に楔を打ち込む形となった。ソニーAPS-C大三元標準のクォリティとはいかに。富士フイルムのレッドバッヂを脅かす存在になり得るのか?軽く検証してみることにする。

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X-T2, XF16-55mmF2.8 @22mm, 1/100 sec at f/5.6, ISO400

質感 (Build Quality)

富士フイルムの16-55mm F2.8の外装は贅沢に金属が使われており、高級感がある。ソニーの16-55mmはほぼ全てエンプラで作られているようで若干の安っぽさが拭えない、少なくとも自分の目には14万円のレンズには見えない。ただし、富士フイルムのレンズフードは異常なほど低品質なため、フードを付けた場合双方の質感はイーブンだ。

Fuji 16-55mm is luxurious lens, it uses a lot of metal, though the barrel is made of plastic and zoom ring is rubber. Fujifilm's lens food quality is POOR, to say the least. Sony 16-55mm is a little bit plasticky, it’s basically made of engineering plastic, it feels cheaper than Fuji 16-55mm. I think only a few people would believe the Sony’s price is as high as $1,400. 

操作性 (Controls)

富士フイルム16-55mmにはフジノンレンズ標準の絞りリングがついている。ソニーには絞りリングが無いが、AF/MF切り替えスイッチとFnボタンが一つついている。Fnボタンはかなり嬉しい富士フイルム16-55mmのズームリングは少し緩めで回しにくく感じる。一方のソニー16-55mmの絞りリングは少し硬めかつ硬すぎずとても回しやすいものだ。

Fuji 16-55mm has an Fujinon standard aperture ring on the lens. Sony 16-55mm doesn’t have aperture ring but it has AF/MF switch and a Fn button which is very useful. Fuji 16-55mm’s zoom ring is a little too loose for me. Sony 16-55mm’s zoom ring is very nice, it’s tight but not too tight.

サイズ/重量 (Size and Weight)

富士フイルムの16-55mmの重さは655g、フィルターサイズは77mmとかなり大きく重たく、持ち歩く気を削がれてしまう。ソニーの16-55mmの重さは494g、フィルターサイズ67mmと富士フイルムの16-80mm F4にかなり近く、自分としてはギリギリのラインで毎日持ち歩いたり長期旅行で常用する気になるサイズ感だ。

Fuji 16-55mm weighs 655g, the filter size is 77mm. it’s massive enough to make me hesitate carrying around everyday. Sony 16-55mm weighs 494g, the filter size of which is 67mm. For me, this is barely acceptable to carry around for everyday uses or long trips.

 

解像力 (Resolution)

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Sharpness Comparison Table (解像力比較 per 焦点距離)

ズームレンズに美しいボケや官能的写りを求めたりはしないが、せめて記録用途として3000x2000px(600万画素)で周辺含めそれなりにシャープに写ることだけは求める。そのレベルの画質すら不要であればスマホコンデジで事足りるのだ。よって、この解像力は全ての中で最も重要な項目となる。

結論からいくと、今回の比較では、ほぼ全ての焦点距離ソニー16-55mmがより高い解像力を示した富士フイルム16-55mmは特に望遠側が弱点で、ど真ん中こそシャープに写るもののそれ以外のエリアは「大三元」を名乗るレンズとして基準を満たせていないように思える。「個体差である」「たまたま運悪くBad Sampleを掴んだのだ」という可能性も否定できないが、自分は過去にXF16-55mmを購入したもののあまり写りが気に入らず売却してしまったため、今回の検証には富士フイルムが公式で貸し出ししているメーカーお墨付きのサンプルを使っている。よってこれがBad Sampleである可能性は低いと考える(さもなくば富士フイルムはBad Sampleを貸し出していることになる)。以下がテスト結果の抜き出し。

Regardless of focal length, Sony 16-55mm shows better sharpness than Fuji 16-55mm accross the frame. (at least 2 copies, mine and the one I borrowed from Fujifilm official rental service). Here you have some sample shots per focal length.

16mm at f/8 Comparison

16mmではどちらのレンズもほぼ同じくらいの解像力を示すとなった。中央はかなりよく解像し、端はソコソコ、四隅はそこまで悪くないが少しだけソフト。全体的に3000x2000px程度で普通に使う分には問題ないレベルの解像力だ。若干だがソニーの方がシャープと言えるだろうか。

Both lenses have similar sharpness across the frame at wide end. The image center is very good, edges are okay, the corners are a little bit soft but you won’t recognize it unless you zoom in to 100%.

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16mm, Image Center (画面中心)

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16mm, Left Edge (左端)

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16mm, Bottom Right Corner (右下隅)


23mm at f/8 Comparison

この焦点距離ソニー16-55mmは画面全体でとてもよく解像し、中級単焦点クラスの解像力を持っていそうだ。富士フイルム16-55mmは周辺(特に端)の解像力がかなり落ちてしまう。

Sony 16-55mm is very sharo across the frame, it’s as good as a middle class prime lens. Fuji 16-55mm suffers smear effects in edges, corners performance is mediocre.

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23mm, Center (画面中心)

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23mm, Left Edge (左端)

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23mm, Bottom Right Corner (右下隅)

35mm at f/8 Comparison

@35mmでもソニー16-55mmは画面全体で非常によく解像し、中級単焦点クラスの解像力を持っていそうだ。富士フイルム16-55mmは周辺の解像力が極端に落ちてしまう(この個体は特に右端よりも左側がソフトだった)。

At 35mm, Sony 16-55mm keeps very sharp across the frame, it’s as good as a middle class prime lens. Fuji 16-55mm is noticeably softer, especially this copy has a weak point at left edge (right edge was a little better).

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35mm, Center (中心)

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35mm, Left Edge (左端)

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35mm, Bottom Right Corner (右下隅)

55mm at f/8 Comparison

@55mm、ソニー16-55mmはそこそこシャープだがやはり望遠側では若干解像力が落ちるようだ。それでも3000x2000px程度で使う分には全く問題なさそうだ。富士フイルム16-55mmは中央に限ればソニーよりも少しシャープに見えるが、周辺の画質はあまりにもズタボロでフラグシップレンズの画質としては許容できないレベルだと感じる。

Sony 16-55mm is still sharp but not as much as prime quality. Fuji 16-55mm’s center is very good, but the other area is soft. In my opinion, Fuji 16-55mm @55mm does not meet the standard of “holy trinity” lenses.

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55mm, Center (中央)

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55mm, Left Edge (左端)

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55mm, Bottom Right Corner (右下隅)

 色/コントラスト (Color / Contrast)

これに関しては好みの問題が大きいところだが、傾向として、ソニー16-55mmの方がコントラスト落ちし難く焦点距離F値に関係なく安定した品質が得られる。

I like Sony 16-55mm’s color better over Fuji 16-55mm by a small margin. Sony 16-55mm is generally more contrasty entire image regardless of f numer and focal length. 

 

歪曲収差 (Distortion)

双方とも特ににワイド端の16mmでかなり大きく歪んでいる。ソニー16-55mmの歪み方がより激しく、周辺は完全にケラレてしまっており、これは全ズームレンズの中でもワーストに近いレベルだろう。ところが、歪み補正適応前の元画像がとてもシャープなため、周辺をごっそり切り捨てて引き伸ばしてもそれなりの画質が保たれているのだ。どちらもファインダーLv画像や撮って出しJPEGLightroom、Capture One等メージャーどころの画像処理ソフトでは自動的に歪み補正がかかるため、普通に使う分には歪みが気になることはない。ソニー16-55mmはLightroomで歪み補正ON/OFFを選べるため、歪み補正を50%くらいに留めれば15mmの魚眼風レンズとして楽しむことも出来る。

Both lenses have bad distortion at wide end, Sony 16-55mm is much worse than Fuji. SOoC JPEGs, Lightroom, Capture One and the other major RAW image editing software automatically correct the distortion. So you might not recognize the fact that they suffer this problem.

 

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Fuji 16-55mm Distortion Correction ON/OFF

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Sony 16-55mm Distortion Correction ON/OFF

最短撮影距離 (Minimum Focus Distance)

富士フイルム16-55mmの最短撮影距離はテレ端で40cm、ソニー16-55mmはテレ端で33cm。ソニーの方が寄れるため使いやすい。富士の40cmもそこそこ寄れるレベルで実用上問題はないが、テーブルフォトなど少しだけ不便を感じるかも知れない。

Fuji 16-55mm: 40cm at tele-end. Sony 16-55mm: 33cm at tele-end. Sony can get closer to objects. It’s very useful. Fuji’s 40cm is not such bad though.

 

ボケ (Bokeh Quality)

個人的にズームレンズにボケの美しさを求めていないため、ほぼ同じレベルにしか見えないが、じっくりよく見ればソニー16-55mmの方が若干柔らかいボケ方をする。富士フイルム16-55mmはボケが少し硬く条件によっては二線ボケが発生する傾向がある。ボケ大好きボケマニアはソニー16-55mmの方を好むだろう。

Sony 16-55mm seems to have a little softer/creamier out focus if you carefully see it. Fuji 16-55mm’s sometimes exhibit busy bokeh in certain conditions. For me, it’s almost negligible. Bokeh fanboys would give a win to Sony. I don’t care the zoom lenses’ bokeh quality because I use primes when I really want creamy out focus.

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Bokeh Comparison

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Bokeh Comparison 2

フォーカスシフト/ブリージング (Focus Shift / Breathing)

ソニー16-55mmはパーフォカルレンズに限りなく近く、ズームイン・アウトでフォーカス位置がほとんど移動しない。またピントリングを最短撮影距離から無限遠まで回しても画角が殆ど変わらない。動画を撮影する人には嬉しい仕様だろう。

富士16-55mmはバリフォーカルレンズで、MFでピントを合わせた後、ズームリングを回すとピントがどこかに飛んでいってしまう。それどころか、そこからピントリングをいじらずにズーム位置を元に戻してもピントが外れっぱなしになるという謎仕様だ。

Sony has better performance. Sony 16-55mm is almost a perfocal zoom lens the focus of which maintains even when zooming in or out. Fuji 16-55mm is obviously varifocal lens the focus of which significantly shift per zooming in out.

 

コストパフォーマンス (Price/Performance)

2020年10月後半時点で、双方の価格は13万円前後とほとんど変わらない。画質を考慮するとコスパソニー16-55mmに分があると言える。

As of the end of October 2020, both lenses cost about 130k JPY in Japanese retail stores. Considering image quality, Sony 16-55mm wins this game.

 

結論 (Conclusion)

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富士フイルム信者としては受け入れがたいことだが、ソニー16-55mmは軽量コンパクトであるにも関わらず、よりシャープで開放からよく写るという富士フイルムが軽く絶望するような結果を示した。今回のテストではこのような結果になったが、自分が2度に渡りXF16-55mmF2.8のBad Sampleを手にした可能性は否定しきれない。しかし、今回の比較に使っているレンズは富士フイルムのレンタルサービスから借りたものだ。普通に考えて潜在顧客にBad Sampleを貸し出すだろうか?その可能性は低い。むしろ、普通なら選別して通常より良いGolden Sampleを使うはずだ。今回の結果を富士フイルムと富士信者の面子を潰さずに受け入れるとすれば、ソニー16-55mmがあまりにも良すぎたと考えるしか無い。

Sony 16-55mm outperforms Fuji 16-55mm in may aspects. It’s more compact, more lightweight, sharper, better bokeh, better contrast. Sad story, Fuji 16-55mm (at least 2 copies I used) is no match for Sony. There is a possibility I picked bad samples two times, but this time I borrowed the lens from Fujifilm official rental service to use it for the testing. Thinking with common sense, if I were the lens maker, I would perform "cherry picking" and rent best samples to potential buyers. The peaceful conclusion might be "Sony 16-55mm is TOO good." 

Sigma 56mm F1.4 Contemporary vs Fujifilm XF56mm F1.2

 

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以前のFujifilm vs Sigmaの16mm比較に続いて、両社の56mmを比較してみた。35mm判換算85mm単焦点は人物撮影に使われることが多いが(Fuji 56mmで撮った過去4年分のデータを見返したら自分もご多分に漏れず90%以上人撮りに使っていたようだ)どちらのレンズが人物撮影に向いているのだろうか?風景などを撮る場合は?なども踏まえていくつかの項目を検証してみる。

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X-E3, XF56mmF1.2, 1/750 sec at f/5.6, ISO200

質感 (Build Quality)

Sigma 56mmの外装はプラスチックとラバーで構成されている。フォーカスリング以外は何もついていない。特段高級感は無いが、チープな感じはまったくない。不思議なつくりの付属レンズフードはコンパクトでレンズと一体感があり、付けっぱなしておくのに最適。
Fuji 56mmの外装はほぼ金属で構成されている。フォーカスリング以外に絞りリングがついており、全体的に高級感がある。ただし、付属レンズフードは無駄に大きくプラスチック感丸出しで残念な仕様。XF23mmF1.4用のレンズフードをつけると割とコンパクトになる(重くなるが…)。

The exterior of The Sigma 56mm is made of plastics, rubber and a bit of metal. There is no specific feature but ordinary rubber focus ring. The build quality is almost middle-class. The lens hood made of plastic is compact and looks nice, you can put it on permanently without any problem.

The exterior of The Fuji 56mm is basically made of metal. The lens has two rings, a focus ring and an aperture ring. The build quality is almost high-class. However, the lens hood is so plasticky and unnecessarily big, you may want to use metal lens hood originally made for XF23mmF1.4.

 

サイズ/重量(Size and Weight)

Sigma 56mmは質量280g、長くも短くもなく軽量かつコンパクトで非常に使い勝手が良い。対するFuji 56mmは質量405g。太くて短いずんぐりむっくりとした形。Sigma 56mmと比較すると、少し大きくてずっしりとした重みを感じる(持ち運びや撮影時のハンドリングでそこまで苦労するレベルではないが)。

The Sigma 56mm weighs 280g, it's perfectly compact, handy, and has great mobility. The Fuji 56mm weighs 405g, a little fatter and chunkier than Sigma, but no problem in carrying and handling.

 

解像力 (Resolution)

人物撮影の距離におけるSigma 56mmの開放の解像力は驚異的で、フレーム中央のかなり広範囲で「本当に開放から使える」超モダンな設計になっている。一方で、四隅や周辺はそれほどでもなく、f/8以上に絞り込んでも周辺画質はそこそこにとどまる。
Fuji 56mmは、開放では中央ど真ん中以外はかなりソフトな描写で、絞るとの隅々まで良く解像するという(古き良き?)クラシカルな大口径単焦点の特性を持つ。絞り込んだ際のピークシャープネスはFuji 56mmの方が勝っており、近距離よりも遠景で力を発揮するだろう。
人物撮影に使われることが多い56mm単焦点をパンフォーカスで使うことがどれだけあるかを考えると、開放から容赦なく使えるSigma の方がシャープネスに関しては一歩上と言える。 

The Sigma 56mm's sharpness at wide open is breathtaking. Honestly, when I saw the image produced by the Sigma 56mm for the first time, I didn't believe it's really taken at wide open and triple-checked the exif data. Shooting wide-open is absolutely usable. The design is true to the name "contemporary". It's not a big problem though, the corner to corner sharpness doesn't improve much even when stopped down.

The Fuji 56mm has classical characteristics of large aperture lenses. The wide open image quality is as good as Sigma at dead center, but the other area have a little low contrast and soft image. It improves a lot when stopping down.

Roughtly, Sigma is very good at portrait and not very good at landscape. Fuji 56mm is opposite. Thinking how often you shoot deep focus photos with those 56mm lenses, I may give a victory to The Sigma 56mm in this game.

以下がレンガブロックを真正面から撮った場合の解像テストのサンプルだ。あえて中央からずらしたエリアをピックアップしているのはここが人物撮影(縦構図、横構図)で目が配置されやすい場所だから。参考までにイメージど真ん中、右端、左下隅もダウンロード可能になっている。Sigma 56mmの圧倒的な開放性能が見て取れる。

Here you have some sample shots per aperture. The reason being I emphasize “Middle Center” is this is a point human eyes tends to be placed. You can download some other shots below. Sigma 56mm shows impressive performance at wide open.

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Short Distance Test, Zoom-In Points

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中央やや左 (Middle Left) at f/1.4

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中央やや左 (Middle Left) at f/2.8

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中央やや左 (Middle Left) at f/8.0

ど真ん中 (Dead Center): @f/1.4, @f/2.8, @f/8.0

右端(Right Edge):@f/1.4, @f/2.8, @f/8.0

左下隅 (Bottom Left Corner):@f/1.4, @f/2.8, @f/8.0

 

 色/コントラスト (Color / Contrast)

傾向として、Sigma 56mmは彩度高くハイコントラストでクッキリ写り、Fuji 56mmは他のFujinon比で明度高めでポップな写りをする。
人物撮影の距離において、Sigma 56mmは開放から尋常ではないほどにコントラストが高く、絞った場合に比べて画質劣化が少ない。Fuji 56mmは肝心の(大口径のウリである)f/1.2~2.0でひどくコントラスト落ちしてしまう。f/2.8以上に絞った場合Fuji 56mmのコントラストは大きく改善されるものの、Sigma 56mmには及ばず、Sigmaが一歩どころか二歩以上リードしているように思える。
女性のポートレートにはふわっと写るレンズがいい!という人が多くいるため、Fuji 56mmはそういった人に支持されるだろう。自分はある程度理解するものの「後からソフトウェアで好きに補正すればいいじゃん」という考え。

Generally, Sigma 56mm tends to produce high-contrast high-saturation images. Fuji 56mm tends to produce high-luminance image with a little warmer hue.

The Sigma 56mm has insanely high-contrast at its wide open. On the other hand, Fuji 56mm struggles from f/1.2 to 2.0. When stopped down to f/2.8 - 4.0 the Fuji 56mm finally catch up with Sigma, but I can clearly say Sigma produces better color in wide apertures. 

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f/1.4 Comparison: Sigma 56mm has contrast is outstanding. Fuji 56mm is a bit soft.

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f/2.0 Comparison: Sigma 56mm is steps ahead.

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f/2.8 Comparison: Fuji 56mm catches up but Sigma 56mm remains more contrasty.

擬色 (False Color)

レンズ固有の話というよりはイメージセンサーの影響を多分に含む話になるが、これら2つのシステムで遠景を撮った場合、Sigma(with Sony 24MP Body)では本来ないはずの色=擬色が回避困難かつ相当目立つレベルで出てきしまうことがある。FujiシステムはRAW現像すれば擬色はほとんど目立たない。レンズが正しい光を供給していても、それを受けるセンサーと画像処理次第では、レンズの性能を活かしきれないこともある。

It’s not a Lens specific issue though, I could observe false colors many times when dealing with Sigma+Sony RAW, while Fuji system well minimizes it. The false colors result bad effect especially in landscape / cityscape photos. There would be almost no problem in portrait situations.

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Observed Green, Blue, Magenta False Colors on the building junctures.

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Yellow and Green False Colors cast on the buildings.

 

歪曲収差 (Distortion)

XF56mmは光学的に歪みが補正されており、RAWデータを見てもまったく歪みのないリアル・ゼロ・ディストーション。これには全く文句のつけようがない。
一方のThe Sigma 56mmのRAWデータはかなり強めの糸巻き型の歪曲がある。これが絞り込んでもそれほど解像力が上がらない原因だろうか?カメラ撮って出しやRAW現像時には基本的に自動でソフトウェア歪み補正が適応されるため問題はなさそうに思えるが、Lightroomの補正データはかなり「やっつけ」で作られているのか若干歪んでいる上、周辺減光のEVを異常に持ち上げすぎて四隅が気味悪いほどに明るくなってしまう。なので、自分は周辺減光補正をスライダーで落としながら現像している。

また、Sony α6500では歪み補正データがあっても、サードパーティレンズではEVFや背面液晶でのライブビュー映像に対して補正は行われないため(行われる方法があったら教えて欲しい)、撮影時に視野率が100%にならず写したい部分が切れてしまったり、水平垂直をとりにくいなどの悪影響があった。

The Sigma has tons of pin cusion distortion. This would be why it doesn't get sharp corner to corner when stopping down. The Fuji 56mm is perfectly corrected optically.

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Sigma 56mm, Lightroom Lens Profile Correction on / off での変化

 

最短撮影距離 (Minimum Focus Distance)

スペックシート上Fuji 56mmは70cmで、Sigma 56mmは50cm。この20cmの違いは数字で見る以上に大きい。The Fuji 56mmでは寄って小物などを大きく写す能力が著しく低く、テーブルフォトなどではかなり使いにくい(立ち上がたり、クロップが必要)。一方でSigma 56mmはテーブルフォトなどでもそこまで大きなストレスを感じずに使うことができるだろう。さらにSigma 56mmはMFを使えばおよそ45cmまで寄ることができる。

The closest focus distances: the Fuji 70cm, the Sigma 50 cm, respectively. The 20 cm of difference is significant. You'll have a big problem when you shoot something like table photos with the Fuji 56mm (stand up, post-cropping... it's annoying!), while you'll be fine with the Sigma 56mm. It seems the Sigma 56mm can get closer than the dataheet spec, as close as 45cm, only when using manual focusing.

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Fuji 56mm 最短撮影距離, Minimum Focus Distance

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Sigma 56mm 最短撮影距離, Minimum Focus Distance

ボケ (Bokeh Quality)

Sigma 16mmとFuji 16mmではあからさまな差があったが、56mmではそこまで大きな差はない。少なくとも自分は、exifデータ無しでボケを見てもどちらのレンズかをほぼ判別できなかった。
Fuji 56mmはf/1.2まで開放できるので少しだけボケ量が多いが、絞り羽根が7枚のため絞ると玉ボケが七角形になる。
一方でSigma 56mmは若干だが開放で滑らかなボケ方をすることに加え、絞り羽根9枚のおかげで絞り込んでも玉ボケがより丸い。ボケ大好きボケマニアにとってはSigma 56mmに軍配があがると思う。しかし、(おそらく)レンズマニア以外にはよくわからない程度の差だろう。

Regarding bokeh qualities, while the difference between the Sigma 16mm and the Fuji 16mm was huge, I found the diference between the Sigma 56mm and the Fuji 56mm is almost negligible.

The Sigma 16mm has a little smoother bokeh than the Fuji 16mm and it tends to have rounder bokeh thanks to 9 aperture blades. The Fuji 56mm has just 7 aperture blades that results heptagon bokeh. Bokeh-fanboys would give a victory to Sigma in this game, I believe most of people would not recognize the difference.

 

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ボケ比較, Bokeh Comparison at f/1.4

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Sigma 56mm @f/1.4 vs Fuji 56mm @f/1.2

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Comparison @f/4.0, the difference is almost negligible for me.

フォーカスブリージング (Focus Breathing)

比較している最中に気づいた細かい部分だが、Sigma 56mmはピント距離によって画角が大きく変わってしまい、若干使いづらさを感じる。Fuji 56mmはほぼブリージングは最小限に抑えられており、このような問題はない。

Sigma 56mm suffers focus breathing, the angle of view changes a lot per focus distance. Fuji 56mm doesn’t have this problem.

 

コストパフォーマンス (Price/Performance)

両方56mmはコストを考えずに甲乙つけがたい性能。性能のみでも若干シグマに分があるだろうか?しかしそれぞれの新品価格は、Sigma 56mmがマップカメラで42000円、Fuji 56mmは103,000円。コスパに関しては疑う余地なくSigma 56mmの勝利だろう。

It's very difficult to determin which lens has better performances, maybe Sigma 56mm is slightly bettter? But once you see the price tags, the winner is obvious. The Fuji is sold for 103k JPY in camera retail stores, the Sigma 56mm is 42k JPY. It's simply amazing. 

 

結論 (Conclusion)

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Fuji 56mmはf/2.8前後まで絞れば高いパフォーマンスを発揮するものの、開放付近のパフォーマンスではSigma 56mmに大差をつけられている。今回の比較では、サイズ重量、画質やコスパといった多くの面でSigma 56mmの素晴らしさが際立つ結果となってしまった。シグマ社はAPS-Cユーザーの求めるものをよく理解しているように思う。Contemporaryシリーズはいつでもどこでも常に持ち歩いて気軽に写真を撮影でき、決定的瞬間を逃さず最上級の画像を得るために、カメラのあり方を追求し、独自の技術開発によって、卓越した「高画質」と機動性あふれる「小型・軽量」を両立しているのだ。ここのところ巨大レンズを立て続けにリリースしている富士フイルムさんがXマウント開発初期に目指していた思想はどうやらシグマにあったようだ。すばらしいレンズを作るシグマ社がXマウントに参入してくれることを切に願う。

The Sigma 56mm is fantastic. Compact, lightweight, great mobility, outstanding image quality at wide open and even suitable for professional use. Sigma Corporation knows APS-C users’ demands very well. I’m confident that their contemporary series will be successful in long term. Fujifilm needs to learn from them and remember the original philosophy. Do APS-C users really want f/1.0 aperture lens that weighs 900g for $1,499? The people who want that kind of products have already been using FF or medium format system. Anyway, I strongly wish Sigma would join X mount and release fantastic contemporary series for X mount too.