Fujifilm X Labo

Fujifilm Xシリーズの研究を気まぐれに行う。

Lightroom ディテールの強化追試 w/ XF23mmF1.4 R

Osaka Station XF23mmF1.4 R Enhanced Details

X-T3 + XF23mmF1.4 R, 1/125 sec, f/6.4, ISO160

 今回はX-Transに対するLightroomディテールの強化の効果について追試を行ってみる。Adobeのディティールの強化では、解像の他に色や階調性も改善されているということで、マイクロコントラストの表現と解像力に優れたXF23mmF1.4 Rでグラデーションのある景観を撮ってみた。

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XF23mmF1.4 Rというレンズ

XF23mmF1.4 Rは機動力に優れるX100系やXF23mmF2 R WRという強力なライバルの影に埋もれあまり注目されていないようだ。しかし、その正体は数あるXFレンズのなかでも最も美しい描写をする、陳腐な表現をすれば、「真の魔法のレンズ」だ。どちらかというとベンチマークで表し難いボケ味や階調性(いわゆるマイクロコントラスト)に優れるタイプ。その上で、歪みはイメージ全域でほぼ完璧に抑えられており、周辺や四隅でも一瞬クロップを疑うほどシャープに解像する。少し絞れば減光も目立つ収差もほとんど無くなるという優等生でもある。腕が良い人はとても見栄えのする写真を簡単に、そうでない人でも良い写真をそれなりに撮ることができる素晴らしい道具だ。

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カメラ撮って出し vs ディテールの強化

左がカメラ撮って出しで、右がLightroomでディテールの強化を施した拡大比較画像。Film SimulationとCamera Profileは双方Classic Chromeを選択し、他のパラメータは一切いじらず初期設定のままとした。

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左下隅

XF23mmF1.4 Rの左下隅の描写は一瞬クロップを疑うほど。左右を比較すると、強化版の方が文字が明らかにきれいに解像していることが見て取れる。

 

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左端

左端も凄まじい解像。強化版の方が時計、旗、広場の「場」の字のがよく解像している。

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中央付近遠方

カメラ撮って出しは遠くの表現がいい加減でボヤボヤになってしまう。また、強化版は解像力が高いだけでなく、撮って出しでは失われてしまっている赤や青の色情報がきちんと残っている。

 

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右上付近天井

撮って出しは一見ノイズが少ないように見えるが、グラデーションが塗りつぶされている。強化版はグラデーションがより高い階調性で再現されている。

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右側遠方

強化版は木や信号のディテール部がよりきちんと解像しているだけでなく、赤信号の色情報もバッチリ残っている。撮って出しは何色なのかよくわからない。

 

結論

Adobeのディテールの強化はやはりホンモノだ。某F社のデジタル超解像処理などとはわけが違う。ディテールの強化によりここまで色再現や階調性に差が出てしまう以上、Xマウントユーザーが撮って出しを使う行為は単なる「怠慢」としか言いようがないだろう。

 

 

 

 

 

などとイキってみたものの、やはり大伸ばしプリントや等倍鑑賞しないとなかなか分からないレベルではあるし、ズームレンズに至ってはほとんど効果がなさそうだ。さらに、前述の通りCPU時間やストレージ容量を多大に食うため、これを日頃の撮影全てに適応するのは現実的とは言えない。富士フイルム様がX-Trans 5世代でデモザイキングをAdobeレベルに改善してくれることを願うばかりである。