Fujifilm X Labo

Fujifilm Xシリーズの研究を気まぐれに行う。

XF16mmF2.8 (XF16mmF1.4との比較)

Bottles on Hanging Shelf in a Bar

X-T3, XF16mmF2.8 R WR, 1/125 sec at f/2.8, ISO160

今回はXF16mmF2.8をXF16mmF1.4と比較しながら軽くレビューしてみる。XF16mmF2.8は基本的にコンパクトでハンドリングしやすいレンズだ。サイズ重量やF値などスペック表に書いてある部分に関してはほぼ省略。

 

解像力
XF16mmF2.8の解像力は、XF16mmF1.4と比較すると、目に見えるレベルで落ちる。解像力に関するXF16mmF2.8の問題点は大きく二つある。一つ目は、純粋に周辺や四隅の解像力があまり良くないこと。これは後述する電子補正の悪影響だろうか、どんなに絞っても改善しない。二つ目は、近接での開放の描写がソフトになること。f/4〜5.6まで絞ればカッチリ写るようにはなる。しかし、そこまで絞るとボケを活かした表現はかなり困難になってしまう。

それぞれ50枚くらいずつ遠景近景撮って描写を比較、まとめたものが下記テーブル。

f:id:fuji-x:20190817225900j:plain

XF16mmF2.8 vs XF16mmF1.4 解像力比較概要

 比較写真があまりにも膨大になるので、代表的なもののみ掲載する。

f:id:fuji-x:20190817232035j:plain

遠景比較ポイント

f:id:fuji-x:20190817233756j:plain

遠景、中央比較@f/5.6

f:id:fuji-x:20190817233919j:plain

遠景、右端比較@f/5.6

f:id:fuji-x:20190817232316j:plain

遠景、右下隅比較@f/5.6

f:id:fuji-x:20190817232147j:plain

接写比較ポイント

f:id:fuji-x:20190817234132j:plain

接写、中央比較@f/2.8

f:id:fuji-x:20190817234358j:plain

接写、中央比較@f/4.0

f:id:fuji-x:20190817234238j:plain

接写、周辺比較@f/5.6


ボケ
XF16mmF2.8でボカした写真を得る条件は限られるが、ボケ味は悪くない。XFレンズというよりもどこかX100シリーズに似ている柔らかいボケ。自分は好み。

f:id:fuji-x:20190817234945j:plain

X-T3, XF16mmF2.8 R WR, 1/60 sec at f/2.8, ISO640

歪曲収差
XF16mmF2.8の一番大きな問題は強烈な樽型の歪曲かもしれない。ここまで激しく歪む単焦点レンズは中華レンズ含む他のメーカーを探しても殆ど見つからないと思う。撮って出しJPEGやメジャーな現像ソフトならば歪曲は自動で電子補正されるが、その補正によって画質が低下することは言うまでもない。

f:id:fuji-x:20190817235710g:plain

XF16mmF2.8 歪み補正前と補正後

f:id:fuji-x:20190817235838g:plain

XF16mmF1.4 歪み補正前と補正後

画角
XF16mmF2.8はXF16mmF1.4と比較して、画角が広い。電子補正前だと、XF16mmF1.4よりもXF14mmF2.8の画角にかなり近づく。レンズの名前がXF15mmF2.8でもおかしくない。

 

周辺減光
XF16mmF2.8の周辺減光はかなり大きい。電子補正で目立たなくなるが、当然ノイズは増える。

 

ハンドリング
XF16mmF2.8の絞りとフォーカスリングは硬めでねっとりとしたクリック感があり、かなり高品質でXF16mmF1.4よりもずっと良い。サイズは他のコンパクトプライムシリーズよりも更に小さく、X-T30などと組み合わせれば、機動力は非常に高い。

 

結論
軽い小さい画質もそこまで悪くはない。しかし、5万円弱のFujinon単焦点レンズとして考えると、性能には複数の疑問符がつく。少し大きくなっても開放F2.0と歪みの抑制を実現して欲しかった。開放f/2.8はボカせる条件がかなり限定されるため、背景を整理して作り込む技術がF1.4よりも高いレベルで求められる。広角初心者ではなく広角レンズに慣れた老練ユーザーにこそ相応しいレンズかもしれない。(ということで自分にはF1.4が良さそう)